リーダーシップを発揮する社員の具体的な行動8選
クリティカルシンキングとは?
クリティカルシンキングとは「客観的な視点を持ち、ものごとを分析すること」です。
クリティカルシンキングを直訳すると「批判的思考」となります。
批判という言葉を使うと、物事の誤りや欠点を指摘するようなイメージがあるかもしれませんが、クリティカルシンキングは1つの物事に対して、検討を重ねて判断していくことを意味します。
「これでいい」と思考を終わらせるのではなく、「本当にこれでいいのか?」と正しく物事を判断し、適切に疑っていく思考態度がクリティカルシンキングです。
「そもそも、本当にこのやり方で正しいのか」「どうして、このような状態になるのか」「なぜ、これを選ぶのか」と、多角的な視野を持ち、内省を繰り返しながら少しでも正しい結論に導くためのメソッドと考えましょう。
また、クリティカルシンキングの特徴として、ロジカルな正しさだけを追求するのではなく、妥当性も含めた形で検討を進めるということがあげられます。
クリティカルシンキングのメリット
クリティカルシンキングが、なぜビジネスシーンにおいて注目を集めているかを考えるために、そのメリットについて、見ていきましょう。
物事の本質を見極められる
クリティカルシンキングは、「なぜこうなっているのか」「これは本当に正しいのか」といった疑問を持つことで、主観的な意見ではなく、客観的な考えを持てるようになります。また、実際には必要のない論拠やデータを取り除き、本当に重要な情報だけを取り出すことにも役立ちます。
その結果、物事の本質を見極める力を身に付けることができます。
実際、ビジネスの会議などの場面においても、不要な情報を減らし、本質的な意見をもって議論することで、無駄な時間や労力をかけずに効果的・効率的に進行することができるようになるでしょう。
新たな視点や発想が生まれる
クリティカルシンキングでは、ある意見や考え方、問題などについて、批判的に疑問を投げかけることによって、新しい視点や発想を生み出すことが可能になります。
例えば、仕事を進めていく中で「労働時間が長いことによって、離職率が増加した」という問題が生じた際に、「そもそも業務量は、メンバーレベルに合っているのか?」「労働時間の管理の方法は適切なのか?」と疑問を投げかけて考えることです。
そうすることによって、「労働時間が長いことが問題であるとされているが、そもそもメンバーのレベルをチームリーダーが把握していないことが問題である」などと気づくことができます。
自問自答し、主観を取り払うことで、そのままでは1つの対応策しかないと思える問題に、客観的にベストと思える新しい解決法を示す可能性があるのです。
説得力ある資料作りに役立つ
クリティカルシンキングをすることで、多角的に物事を考えるプロセスを通して、結論まで効率よくたどり着くことができるようになるため、ビジネス資料などを作成する場合にも大変役立ちます。
クリティカルシンキングでは、物事の在り方を疑問視しながら思考を進めるため、矛盾を減らし、本質的な課題や、適切な解決方法を見い出すことができます。見落としていた点や、これまで気づかずに見逃していたチャンスに気づきやすくなるので、資料作成においても、相手にも伝わりやすいような、全体を網羅した内容を作成することができるようになります。
また、客観性を備えた論理展開をしていくことで、相手の主張やその前提について的確に理解した上で、資料を作成することができるので、結果的に、より相手に響く内容になります。
相手への理解が深まり、コミュニケーションを円滑にする
クリティカルシンキングを身に付けると、相手の思いや言いたいこと、相手がそのような思考をする前提を適確に理解できるようになります。
上司と部下の間で認識に相違があると、コミュニケーションが思うように図れなくなりますが、クリティカルシンキングを用いれば、その発言の背景にある意図をくみ取りやすくなり、しっかりとした意思疎通を図ることができるので、より良い関係を構築することができます。
研修でよく用いられるコーチングを実施する場合にも、クリティカルシンキングを活用することで、部下に対する理解を深めたり、その自主的な行動を促したりすることが可能となるでしょう。
クリティカルシンキングのトレーニング方法
問題を適確に理解する
クリティカルシンキングのトレーニング方法として、批判的思考を始める以前に、まずは問題となっている事象を正確に理解する練習が重要です。
自分が今直面している問題について理解することで、その後適切に思考を整理することが可能となります。
解決策について思考を巡らせるよりも、まずは問題となっている事象を正しく理解する練習から始めましょう。
社会問題に疑問を持ち、深掘りする習慣をつける
例えば、ニュースや新聞などを見て、「実際に起きている社会問題に対して、具体的な解決方法を考える」というのは、クリティカルシンキングのトレーニングとして有効な方法です。
現在、社会に対して大きな影響を与えている問題をピックアップし、その問題点を書き出しながら、どのようにしたらその問題を解決できるかを考えてみましょう。
検討する際には、これまで実際に試みが行われてきた解決策や、それらの効果、成功原因や失敗要因を見直し、自分の解決策が本当に有効なものであるかどうかについて、クリティカルシンキングを用いながら検討します。
これを繰り返すことで、複雑な問題に対しても解決策が提示できるような力が身に付きます。
本や映画などを鑑賞する
クリティカルシンキングのトレーニングを行うのに、本や映画なども適しています。
本や映画を単純に鑑賞するのではなく、気づいたことや登場人物の共感できる箇所、面白かった点などを振り返って検討してみましょう。
「あとで検討する」ことを前提に、意識しながら鑑賞すると、注意深く考察しながら鑑賞できるようになります。この行為自体がクリティカルシンキング向上につながるのです。
クリティカルシンキングの基本~4つのステップ~
クリティカルシンキングは、4つの基本から構成されています。
①ゴールを明確にする
まずは「ゴールを明確にする」ことです。
「何をしたいか」「どういった理由なのか」「どういう状況を実現したいか」という問いかけを繰り返して、客観的思考を実施しましょう。
このような思考を繰り返すことで、目指したいゴールと達成目標とする期日を定めることができ、到達したいレベルについても具体的にイメージできるようになります。
最初にゴールを設定することができれば、クリティカルシンキングをスムーズに進めることができるでしょう。
②現状分析を行う
次のステップは、現状の分析を行います。
”いつ・いつまでにどのような状態に”というような、最初に設定したゴールや到達したいレベルに対して、現在がどのような状況か、細部にわたって調査をします。
定期的に、現状分析を丁寧に実施することで、次なるステップ設定がしやすくなります。ゴールに沿って丁寧に分析を行いましょう。
③課題発見
クリティカルシンキングの3つ目の構成要素が、「課題発見」です。
当初、設定したゴールと現状にどのような乖離があるのか、乖離の度合いはどのくらいかを明確化し、分析します。
このとき、可能な限り客観的な視点を持って、考えることが重要です。
グループなどで実施する場合にも、客観的な視点や論点を意識しながら、話し合いを進めることが大切と考えましょう。人にはそれぞれ、思考の癖のようなものが存在します。それらを認識し、可能な限りフラットな見地から課題を見極めることが大切であると考えましょう。
④解決策を考える
クリティカルシンキング4つ目の構成要素は、「解決策を考える」です。
3つ目までの構成要素を踏まえて思考していくと、取り組むべき課題がはっきりとします。
その明確化した課題の中で、優先順位をつけて
・誰が
・どこで
・何を
・いつまでに
・どのようにして
解決していくべきかというプランニングを行いましょう。
まとめ
今回はクリティカルシンキングに関する基礎知識や、メリット、トレーニング方法などについてご紹介しました。
クリティカルシンキングを取り入れることで、ビジネスでのコミュニケーションがスムーズになったり、数値をもとに的確な判断が行えるようになったりとさまざまな効果が得られます。
また、ビジネスシーン以外でもクリティカルシンキングが役立つケースは多くあります。是非、トレーニングなどを通してクリティカルシンキングを身に付けてみてください。