リーダーシップを発揮する社員の具体的な行動8選
はじめに
ビジネス用語としてよく耳にする「報告」「連絡」「相談」、いわゆる「ホウ・レン・ソウ」が今、再び注目を集めていることをご存知ですか?リモートワークが増え、オンラインで仕事を進めることも増えてきたため、改めて一層その重要性が認識されています。
報連相とは?
「報連相(ホウ・レン・ソウ)」とは、その言葉の通り「報告し、連絡し、相談する」ことです。
野菜のほうれん草に例えてつけられたその名前は、堅苦しく捉えすぎず、気楽に報連相が定着するようにと考えられました。日本では、30年以上前から風通しのよい社風を目指し、多くの企業でこの「ホウ・レン・ソウ」を掲げ、上司と部下が何でも相談し合える関係性構築を目指す体制づくりが行われてきました。
それでは、具体的に報連相とは、どのようなことを指すのか確認していきましょう。
報告
まずは、報連相の「報(ホウ)」、報告の定義について、確認していきましょう。
報告:
上司からの指示や命令を受けて対応している仕事の経過や結果について、部下が上司の報告すること。
本来、報告は部下が進行中の案件で困っていることや悩みがないかを把握することを目的としています。報告を行なうことで上司と部下の信頼関係も深まり、問題があった場合もすぐに上司がフォローできるため、業務効率化にもつながります。ビジネスシーンにおいて、報告が業務にもたらすプラスの作用は、とても大きなものといえるでしょう。
連絡
次は報連相の「連(レン)」、連絡の定義についてみていきましょう。
連絡:
仕事を進めていくうえで、一緒に仕事をする関係者に業務の状況や作業進捗を連絡し、共有すること。
連絡は、上司と部下という関係性に関わらず、業務をともに進めている関係者すべてに対して業務上知り得た情報を共有するために行なうものとなります。連絡は、グループメンバー、社内全員に対してするものですから、誰であっても連絡する側、される側になり得ます。総務から全社員向けのアナウンスも、プロジェクトリーダーからグループメンバーに対する通達も、すべてこの連絡に該当します。
連絡の目的は、迅速に情報を共有することにあります。簡潔に情報をまとめ、今後考えられる事態に備えたり、行き違いがないように手配したりするときなどに用いられます。連絡する際、数字や日時に関する連絡事項は口頭での連絡をなるべく避け、文章で連絡するようにして記録を残しましょう。
相談
報連相の「相(ソウ)」である相談の定義は、以下の内容となります。
相談:
業務を進めるプロセスで、問題が生じたり、困ったりした場合に周囲に相談し、意見を求めること。
相談の目的は、問題となっていることや判断に迷っている事柄に対して助言を受け、解決することです。自分一人では思いつかなかったような解決策を見つけ出せることもありますから、相談はどんどんすべきと考えましょう。
相談せずにそのまま手つかずの状態にしてしまい、一人で問題を抱え込んでいると、業務の進行が滞ることにつながります。多大なるストレスがかかってしまうことも考えられ、心身の不調の原因にもなり得ます。業務に関して疑問や悩みが生じた場合は、できるだけ早く相談するようにしましょう。
相談をする前には、あらかじめ問題となっている事柄を明確にして、必要であれば事前に資料を準備し、問題となっている内容を相手に伝える準備を整える必要があります。より的確なアドバイスを求めるためには、質問の内容が正確に伝わらなくてはいけませんから、準備はしっかりと行なうようにしましょう。
相談する際に、押さえておくべき3つのポイントは、以下の通りです。
- 相談したい事柄の現在の状況
- 相談したいと考えている事柄を、今後どのようにしていきたいのか
- 相談する前に取り組んだこと、取り組んでも改善しなかった自分なりの考察
この3点を明確にしておくことで、相談を受ける側としても解決策を導き出しやすくなります。正確な現状を伝え、情報を整理しておくことで、効率よく問題解決につなげる相談が可能となります。
また、相談内容を整理することで、自分でも新たなる解決策が見出せることもあるでしょう。
報連相に気をつけるべき理由
報連相を行なう際に、注意すべきポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。
まず、相手の立場に立って、自分の報連相に対して「何を知りたいと思うか」を考えましょう。話の内容を整理してから、話すことが重要です。
また、話すときに結論から話すことが大切なポイントです。長々と話すのではなく、結論を端的に伝え、そのうえで助言を求めるようにしましょう。
ミスやトラブルなどが発生したときこそ、迅速な報連相が重要です。「マイナス評価につながるのではないか」と報連相を怠っていると、より被害が拡大し、会社全体にまで影響を及ぼす可能性もあります。ミスやトラブルに見舞われたときこそ、迅速に報連相を行い、解決へと尽力しましょう。
報連相を行なうポイント
報連相に関して、基本的な内容が理解できたら、次は報連相を実際に行う際に押さえておくべきポイントについて確認していきましょう。
報告のポイント
報告におけるポイントは、以下の通りです。
報告はタイミングが重要
報告をする場合は、タイミングを逃さないことが重要です。「これで大丈夫」と過信して報告が遅れてしまうと、万が一問題が発生していたり、ミスがあったりした場合に気づくのが遅くなってしまい、大きな損失につながるケースもあります。
報告をする際には、以下のタイミングで行なうようにしましょう。
- 指示されていた業務が完了したとき
業務が完了したら「ご指示いただいていた業務が完了しました」と報告し、確認してもらいましょう。 - 長期にわたる業務は、中間報告を行なう
長期にわたって取り組んでいる業務がある場合は、進捗状況を中間のタイミングで報告するようにしましょう。 - 仕事の進め方において、変更が必要となったとき
指示されていた内容で案件を進めていたものの、必要に迫られて変更せざるを得ないというときは、必ず報告しましょう。無断で変更して進めるのはNGです。 - 業務を進めていくなかで、新しい情報が入ったとき
業務を進めるなかで新しい情報を手に入れた場合は、今後、業務を遂行する中で役立つ有効な情報である可能性があります。速やかに報告しましょう。 - 遂行している業務内容に対して、改善方法を見つけた場合
現在進めている仕事に対して、より良い方法に気づいた場合は必ず報告しましょう。全体を統括していると、現場レベルでの気づきまで吸い上げるのが難しい状況もあります。実際に仕事にあたっている現場からの報告は、業務効率化に大変役立ちます。 - トラブルやミスが発生した場合
仕事を進めていくなかで、トラブルやミスが生じることもあります。そのようなとき、自分だけで何とかしようとするのではなく、速やかに報告し、対応策について相談することが、問題解消への近道となります。
連絡のポイント
連絡は、仕事の状況を迅速に共有するために必要です。情報を正確に、かつ簡潔にまとめて連絡することで、現状を共有することが可能となり、今後起こり得る問題やトラブルを推測して備えることが可能です。
重要な事柄を連絡する場合は、あいまいな表現は避けましょう。情報を慎重に取り扱い、迅速に共有するよう努めることが大切です。
以下の内容を連絡する場合には、特に注意を払う必要があると考えましょう。
- 事故やトラブルに関する連絡
損失につながりかねない事項ですから、可及的速やかに連絡する必要があります。 - 見積などの数字に関する連絡
金額などの数字を扱う連絡に関しては、正確さが重要です。慎重に取り扱い、また文書として記録を残すことができる形で連絡しましょう。 - 日程連絡
打ち合わせ日時などは、口頭で連絡してしまうと間違えて記憶してしまったり、忘れてしまったりといったリスクもあります。こちらも文書として記録が残せる形で共有しましょう。
連絡に関しては、至急共有が必要な内容も多々ありますから、共有すべき情報は速やかに共有することが大切です。「今忙しそうだから」と共有を遅らせたことが、後になって損失を招く原因になる可能性もあります。
相談のポイント
相談する際も、できるだけ早めにすることがポイントといえるでしょう。
「相談したいけれど、どうしよう」と、悩み続けているうちに、問題となっている事柄が深刻化する可能性もあります。相談すべき事案が生じた場合は、できるだけ早く相談するようにしましょう。
速やかに相談することで、的確なアドバイスや打開策を提案してもらうことができ、トラブルを最小限にとどめることも可能です。
相談では自分の意見を伝えよう
トラブルが生じた場合の相談は、ダメージを最小限にとどめるためにも迅速に行う必要がありますが、今後の業務進行に関する相談などは、自分の意見を表明する場として考えるのも一つの方法です。
また、うまくプロジェクトが進んでいないときにも、相談はとても有効な手段です。上司や社長は、社員一人ひとりを気にかけたいと考えてはいても、実際に全員のことを把握し、それぞれのプロジェクトの進行をすべてチェックしているわけではありません。部下の方から「今取り組んでいるプロジェクトの進行について、問題が発生しています」と表明することで、上司や社長がその状況をチェックする機会を設けることができます。
相談を受けた上司も社長も「やり方を変えてみてはどうか?」「ツールを変更してはどうだろう」と、具体的なアドバイスをしてくれるはずです。直接相談されて、迷惑だと感じる社長や上司はいません。「きちんと相談に来てくれて、よかった!」と感じるケースがほとんどと考えていいでしょう。一人ひとりを見るのは難しくても、社員側からアクションがあれば、上司も社長も快く相談に応じてくれます。
トラブルや問題が発生したときは「これはチャンスだ」と前向きに捉えて、自分なりの対策方法を考えたうえで相談するようにしましょう。
また、特別大きな問題を抱えていない状況であっても「このような進め方をしていますが、問題ないでしょうか」と相談するのも、一つの方法です。自分がきちんと与えられた仕事を進行していること、いろいろと検討し、考えながら作業を進めていることなど、仕事に対する自分の姿勢をアピールすることにもつながります。
だからといって、むやみやたらに相談ばかりしていると「また来たのか」という印象を与えかねません。タイミングを見計らって、ある程度報告できる進捗があるときや、本当に問題が発生したときに相談するようにしましょう。
まとめ
報連相は、社員や部下の立場から上司や社長などに対して、自分の実力や能力をアピールする機会として捉えることもできます。日常業務をこなす中では、自分の現状や困りごとなどについて上司や社長に進捗報告したり、連絡や相談をする機会を積極的に持つようにしましょう。相談しづらい、話しかけづらいと思うのであれば、「報連相の一環として」考えれば必要な業務として堂々と行うことができるのではないでしょうか。
「指示していただいた課題の進捗は、ここまで取り組みが進んでおり、このような結果が出ています」
「このような方針で取り組んでいますが、このような問題に突き当たっています。自分は今後、新しくこういった取り組みをしたいと考えていますが、いかがでしょうか」
このように具体的に現状を伝え、今後どのようにしていくか、自分なりにきちんと考えて取り組みを進めていることを、端的に伝えるチャンスです。
「報連相」は、コロナ禍において、今後、より重要視されるビジネススキルといえます。自分が仕事における最適なパフォーマンスを残すために有効な手段として、報連相を活用しましょう。自分だけで何とかしようとせず、報連相によって自分よりも経験豊かな上司や経営層からアドバイスを受けることで、業務をよりスムーズに進行することが可能になるでしょう。