2021.04.15 2024.09.01
  • マネジメント

管理職研修の目的と研修内容は?管理職研修の意義

近年日本でも国際的なビジネス基準が導入されるなかで、企業内で管理職に求められる能力も変化しています。従来の部長・課長という階層構造から、プロジェクトマネジャーなどを中心にした組織に変わっている状況では、管理職の役割が多様化するのも当然といえるでしょう。

こうした新しい管理職の能力を磨く場合、昔ながらの組織の中では限界があります。そこで管理職のスキルを高めるために活用されているのが、総合的でしかも専門的な管理職研修です。この記事では管理職研修の特徴を解説し、効果を高めるためのポイントについてもご紹介します。

【目次】

管理職研修とは?

現代の管理職には、組織をまとめるリーダーシップのほか、業務を進めるうえでのマネジメント能力やコミュニケーション能力など、多様なスキルが求められています。企業内でも優れた管理職を育成する努力が必要ですが、社内での教育だけにとらわれることなく、積極的に管理職研修を活用するべきでしょう。

では、管理職研修とはどのようなものなのか、その特徴と種類、習得できるスキルなどについてご紹介します。

管理職研修の特徴

管理職研修とは、企業そのものを運営管理する人材から、企業内で組織をまとめて業務を管理する人材まで、非常に多様なポジションを対象に行われる研修です。従来の大まかな管理部門という概念ではなく、現代管理職に求められるスキルを細かく分類して、それぞれに能力を高めていくという特徴があります。

また、机上で知識を深めるだけではなく、より実務に近い方法で実践する点も大きなポイントです。研修を受けた人材が、すぐに企業内で能力を発揮して、企業の業績アップに貢献できるようにすることが、新しい管理職研修の優れた点だといえるでしょう。

管理職研修が必要な理由。管理職研修の目的

ビジネスにマネジメントという概念が持ち込まれてから、管理職に求められる能力は幅が広くなり、しかも細分化されてきました。そのため、企業内で組織をまとめる人材を育成するには、専門的な研修で知識やスキルを習得する必要があります。

現代の管理職に必要な能力は、経営に関わること、組織をまとめて業務を遂行すること、さらに部下を育成しながらコミュニケーションをとり、同時に自分自身がなすべき業務も進めるなど、数えるときりがないほどです。自分の仕事をこなしながら、そのうえで自己研鑽に励むことは一管理職として負担が大きすぎます。

そこで業務から切り離して、管理職に専門的な教育を受けさせることが必要となり、それが管理職研修の基本的な目的になります。研修を通じて習得すべきことは、経営戦略、マネジメント、リーダーシップ、メンタルヘルスなど多岐にわたるのです。その中からそれぞれの管理職に必要な項目を選び出して組み合わせることにより、より優れた管理職に成長させることが、管理職研修における最大の目的といえるでしょう。

管理職研修の種類

管理職はさまざまなポジションがあるため、それに合わせたタイプの研修を準備しなければなりません。新任の管理職と上級の管理職では、研修の内容も目的も異なります。ここからはそれぞれの目的に合わせた研修について解説していきます。

◆新任管理職研修

新たに管理職に抜擢された新任管理職が身につけるべきものは、基本的スキルです。まずは管理職の役割について学び、部下をまとめてプロジェクトを進めるノウハウを習得します。そのうえで徐々に部下を育成する方法について学びましょう

新任管理職は、部下を率いて業務全体を管理する経験は初めてとなる人材です。それを考慮して、主に管理職の具体的な役割の理解と、コミュニケーションやメンタルヘルスなど、部下と接するために必要な知識とスキルの向上に重点が置かれます。

そのため短期的な研修ではなく、1~3年という長期的プランに基づいて、段階的に能力を高める管理職研修も準備されていることがほとんどです。具体的にはリーダー業務研修、部下育成スキル研修、マネジメント研修などにより、管理職のスキルと意識を高めていく研修となります

◆上級管理職研修

上級管理職に求められるものは、経営戦略の立案から実行、リスク管理などのハイレベルなマネジメント能力です。上級管理職研修では、基本的なマネジメント能力は備えていることを前提に、より経営側の視点に近い管理能力を磨くことを重視します。

研修では経営に関わる情報分析の手法や、業績アップのための実践的なマーケティングなど、専門的で高度な知識を身につけられます。さらに、現代企業にとっては欠かせない、コンプライアンスについての知識を学ぶ場でもあるでしょう。

上級管理職は、部下の育成やコミュニケーションのような、基本的な管理能力に関しても、一般管理職とは違った観点から学び直す必要があります。こうした総合的な管理能力をハイレベルに高めることが、上級管理職研修の最大の目標といえるでしょう。

◆チームビルディング研修

チームビルディング研修の対象になるのは、プロジェクトマネジャーやラインマネジャーなどがあげられます。現場でチームをまとめるリーダー役でありながら、全体的なプロジェクトを遂行する難しいポジションの人材です。

主な研修内容は2つあります。リーダーシップを高めながら部下とのコミュニケーションを上手にこなすことチームをまとめてチームワークを高めることです。もちろん企業にとってはチーム力を高めて、業務遂行能力をアップすることが目的になります

この研修では実践的な手法が多くとり入れられておりますが、例えば、ゲームやワークショップを活用し、ミーティングや対話の場を設けるなどです。さらにその中でコミュニケーションをとった相手からフィードバックをしてもらうなど、すぐに現場で試せる内容も学ぶことができます。

◆一般的な管理職研修

上記以外の一般的な管理職研修では、現在の管理職に必要な基本的マネジメントスキルの習得を目指します。リーダーシップやマネジメントなどを含めて、総合的な管理スキルを高めることが目的ですが、研修期間は全般に短い傾向にあるようです。

管理職研修で身につくスキル

ここからは、実際に管理職研修により習得できるスキルについて解説しましょう。研修では実にさまざまなスキルを学ぶことができますが、その中から特に重要な5つの項目を挙げてみます。

◆指導力・マネジメント力

管理職は経営陣のもとで、部下やチームを指導しながら業績を上げなければなりません。研修ではリーダーとしての能力を磨くことができ、管理職を中心にチームをまとめ上げるスキルも身につけることができます。自分自身がプレイヤーとして動くことではなく、マネジャーとしてチームを動かす能力を養うわけです。

マネジメントという言葉は、日本人にとってかなり抽象的な表現ですが、その中には企業の業績アップにつながるノウハウが詰め込まれています。管理職研修でマネジメント能力を高めることで、企業の将来を担う人材を育てることができるのです。

◆目標を設定・管理する力

組織としてプロジェクトを推進する場合、短期的な目標と長期的な目標を設定して、それを管理するリーダーが必要です。管理職研修は、このリーダーとしての能力を高めながら、実際に目標を設定して管理する手法を習得できます。

1つのプロジェクトを完遂するまでには、現場の状況や業務の進行状況に合わせて柔軟に目標を立て直し、計画を修正することが求められます。管理職研修は、それに対応するためのスキルを高めることが可能です。

◆リーダーシップ

管理職研修で学ぶリーダーシップは、単なる精神論や現場における行動論ではありません。これまでにリーダーシップはさまざまな角度から研究されていて、その結果をもとにして体系的にリーダーシップを学ぶことができます同時に、理論的なリーダーシップ論を習得できるわけです。

もちろんリーダーシップに必要なものは理論だけではないため、経験に基づいたプロの指導によるスキルアップも可能です。現在リーダーシップは管理職だけに必要なスキルではなく、もっと幅広い層に浸透させるべきだという意見が提唱されていて、今後はより多くの人材がリーダーシップ研修を受けるようになるかもしれません。

◆組織運営力

現代のマネジャークラスの管理職に求められる要素の1つが、従来のやり方とは違った方法で組織を運営する能力です。これは、部下に指示を与えて業務を進捗させるだけとは限りません。具体的には組織をまとめ上げて前に進ませることから、顧客や取引先との交渉やクレーム処理、組織内での人間関係の調整など、非常に広範囲の業務を統括しなければならないのです。

管理職研修を受けると、自身の組織運営力を高められるうえ、それを現場で実践すればチームそのものも進化させることが可能になるでしょう。さらにチームの業績がアップすれば、管理職として高く評価され、その上のポジションを狙うこともできるはずです。

◆リスクマネジメント力

管理職は常に前向きに考えるだけではなく、自身が管理する組織のみならず企業全体が損失を被る可能性も考慮しなければなりません。こうした危機管理能力を高めるために必要なものが、リスクマネジメントのスキルです。

リスクマネジメントとは本来企業が損失を被る前に、そのリスクを特定~分析して、可能であれば事前に回避するための手を打つこと。管理職研修は、この重要なスキルを身につけることができ、企業内で重要なポジションに立てる可能性が高まります。

管理職研修のポイント

多彩なプログラムがあり、多様なスキルを身につけることができる管理職研修ですが、受講するうえでの注意点を意識していないと、自身の成長・属する企業の戦力アップにつながりません。研修を受けるときは、確実にスキルを習得することと同時に、以下のポイントに注意するようにしましょう。

管理職自身が役割意識を持つこと

特に新任管理職の場合に注意すべきこととして、なぜ自分が管理職研修に参加することになったのか、自分が何を求められているのかについて、研修する本人が自覚を持つことが必要でしょう。管理職研修を受けるということは、組織を構成する一員から組織をまとめるポジションへと、立ち位置を変える必要があるからです。

組織の一員という意識のままでは、企業の運営に責任を持つべき管理職としてのスキルを磨くことはできません。研修後に自分がどれだけ成長して、企業内で新たにどのような責任を担うのか、しっかりとした役割意識を持って研修に臨むことが重要です。

経営層の方針や経営理念を理解すること

管理職として期待される立場になることは、多かれ少なかれ企業の経営の一端を担うことでもあります。そのために経営陣の意向を踏まえて、その方針に従って自身の行動を決定しなければなりません。しかも管理職の職務として、経営陣の意思をチームや部下に伝達することも必要です。

特に現在のビジネス界は、個々の企業がはっきりとした経営理念と社会的責任を自覚することが求められています。管理職研修を受講するにあたっては、企業を代表するという意識を持つことが重要です。

管理職研修の料金相場

最後に管理職研修の料金について、大まかな相場をご紹介します。とはいえ、研修には実にさまざまなタイプがあり、運営する会社によっても料金設定は異なります。詳細は研修を提供する会社のホームページなどで確認してください。

まず料金を低く抑えたい場合は、オンライン研修を利用するとよいでしょう。参加型の研修は日数によって設定の幅が広く、1日だけの研修から1年を超える研修もあるので、一律に料金相場を比較することはできません。ただし、新入社員研修などよりも、管理職研修の方が料金設定は高めです。

一例を挙げると、オンラインでは1万円台から受講できるタイプもあり、参加型では最低3万円台からありますが、プロの講師による管理職研修は、1回あたり15~30万円程度が相場のようです。

まとめ

今のビジネス界は、管理職に求めるスキルが多様化しています。従来のように企業内での実務経験に頼っていると、各業界の流れから取り残される恐れもあります。それを防ぐための、管理職を育成するプログラムが管理職研修です。

実際、マネジメントやマーケティングのスキルを身につけるには、企業内研修よりも外部で専門的な研修を受講する必要があります。料金や時間などの負担が大きいかもしれませんが、優れた管理職を増やせば企業経営が大きく変わる可能性もあるでしょう。企業を支えるのは、最終的に人材であることを忘れないでください。

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