リーダーシップを発揮する社員の具体的な行動8選
No.2とは?
「自社にNo.2と呼べる存在はいるか」と改めて質問してみると、多くの経営者やチームリーダーなどは首をかしげるケースが多くあります。
この人はNo.2に該当するのではないか、と頼っている人物はどの経営者にも存在するようです。
しかし、実際にNo.2と呼んでもいいかを改めて考えてみると、No.2本人が自分の立場をどう理解しているのが分からないため、明確にNo.2とは呼びにくいといいます。
このことからも分かるように、経営者や上司などの上の立場から見て「No.2」と認識するだけでなく、本人の自覚や、周囲のメンバーによる認知も必要ということです。
No.2は社内やチーム内での雰囲気づくりに大きく影響する存在です。
例えば、納期がタイトな課題が上層部から依頼されたと仮定します。
「そんな無茶な仕事、できる訳がない!」と、社員の多くが困惑するなかで、No.2が「よし、やろう!」と行動を起こし始めたらどうなるでしょうか。
No.2の姿勢に多くの社員は影響され、社内の雰囲気は一気に活性化し、アクティブになるケースが多いのです。
それくらい、No.2のつくり出す空気は大きな影響力を持っています。
自社内、そして自分のチーム内に頼れるNo.2を育成することは、自社、そして自分のチームの成長につながるということを理解しておきましょう。
No.2が担う役割とは
それでは、具体的にNo.2として活躍する人にはどのような能力が求められるのでしょうか。
まず、No.2は経営者や上司といったトップと現場の人間との潤滑油になることが必要です。
トップと現場の人間というのは、かみ合わないケースが多く見られます。トップの意向を汲み、全社を挙げて同じ方向を見ることができればそれが理想ですが、社員一人一人にもさまざまな思いがありますから、そうはいかないのが現実でしょう。
しかし、トップが現実的な、地に足の着いたプランばかり用意してしまうと、会社やチーム全体の成長という意味では期待できない状況となってしまいます。
目標とし、理想とする企業やチームの姿を、最初から小さくまとめてしまうのはよくない、しかし現場と大きくかけ離れたものを広げてしまうと、社員の心が離れてしまう。そのような事態を避けるために活躍するのがNo.2です。
No.2は、トップが描いた地図を、現実に即した形で落としこんでいく重要な役割を担う存在となります。
事業の発展性や今後の市場予測、事業の安定性や人件費など、細かなところまで具体化し、それを走らせることがNo.2の仕事と考えましょう。
トップが広げた大風呂敷を現実的なものとして具現化していくのがNo.2です。
どんなに素晴らしいビジョンがあっても、それを現実的に実行できる力がなければ、企業として成り立ちません。
優秀なNo.2がいるかどうかで、会社の成長進度は大きく変わってくるということです。
No.2の重要性を理解したうえで、安心してその役割を任せられるNo.2育成を始めてください。
No.2人材を選ぶポイント
では実際にNo.2を育成するために、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
まず、注意したいのが「No.2は、イエスマンであってはいけない」ということです。
経営者や上司の意見に迎合するイエスマンがNo.2になると、経営者や上司としては気持ちがいいかもしれません。
トラブルが発生することも少ないことから、経営者や上司にとっては仕事がしやすい相手と感じるでしょう。
しかし、会社の成長という目指すべき本来の目標よりも、経営者や上司との良好な関係性を重視するNo.2では、企業にとって本当に必要な進言ができる存在とはなりにくいのが現実です。
万が一、間違った方向に進んでいても苦言を呈することができず、結果的に企業やチームがマイナスの方向に傾いてしまうリスクが出てきてしまうということを理解しておきましょう。
No.2を抜擢する際には、自社の成長・発展を心から願い、自分自身も会社と一緒に成長したいという意志や意欲があるかをポイントに、素養を見極めてください。
トップとは性格や物事の考え方が違うNo.2がついているからこそ、全方向の安全性・安定性をしっかりと考え、会社の舵取りができるのです。
No.2人材はどうやって育成するのか?
企業やチームにおいてNo.2のポジションに立つ人材は、なんとなくそこに存在するわけではありません。きちんと意図を持って育成するものです。
ごくまれに、No.2的な役割を自然とこなしてくれる人材がいる企業やチームもありますが、一般的にはそのような流れを期待してはいけません。
No.2としての素養がある人物を選んだら、しっかりと育成していきましょう。
No.2の指名
No.2育成をする際には、なんとなくNo.2的存在として扱うのではなく、明確に「あなたはNo.2ですよ」と本人、そして周囲に伝えることも大切です。
自分がNo.2だと思われている、ということを明確に認識することで、本人に自覚が芽生えます。
曖昧なままにNo.2的な動きを求められると、そこに不満が生まれます。
しかし「自分は、この企業・チームのNo.2としての動きを求められている」とはっきり理解していれば、自分の動きがどのように企業やチームに影響するかを考え、行動できるようになるのです。
より広い視野で会社、そしてチーム全体を見渡すことができるようになり、それは企業やチームにとってプラスに作用します。
きちんとNo.2であることを本人、そして周囲のメンバーに徹底して伝えることが、No.2育成の第一歩と考えましょう。
No.2に求める役割を明確に伝える
もう一つ重要なことは「トップとして、No.2にどのような動きを期待しているか」を具体的に伝えることです。
No.2を任せたからといって、そこから先は自分で考えて動いてね、と丸投げしてしまっては、期待する働きは得られません。
No.2は経営者や上司を差し置いて、自分がどこまで動いていいのか迷うというケースも多くあります。
そのような状況になってしまうと、トップとしても、No.2自身としても、お互いに期待し合うだけで実際には動くに動けない状況に陥ってしまうケースもあるため注意が必要です。
また、しっかりと意思疎通を図り、役割を明確化しておかないと方向性がズレてしまうリスクもあります。
お互いのために、あらかじめ期待する動きや役割を明確に伝えておきましょう。
具体的に指示しておくことで、このような問題はクリアになります。
裁量を与え仕事を任せる
No.2育成に欠かせないのは、裁量を与えることです。
裁量が明確化されていないと「経営者やリーダーを差し置いて、自分がここまで動いても大丈夫なのか」という迷いが生じます。
「このような動きを期待している」と伝え、どこまでの裁量を認めているかを共有することで、No.2本人としても「ここまでは自分で動いても問題ない」と判断することが可能です。
ある程度の裁量を与えることも成長につながりますから、まずは思いきって少し大きめの仕事を任せてみましょう。
裁量を与えられることで、No.2も期待されていることを実感し、自信を持つことができます。
また、自分に任せられたことに喜びを感じるため「仕事に励もう!」というモチベーションの向上にもつながるのです。
No.2の成長は、企業、そしてチーム全体の飛躍につながるといっても過言ではありません。
No.2に仕事を任せることで、トップは他のことに取り組むことができるようになり、新規事業創出などに着手する時間的余裕が生まれます。
そうして誕生した新規事業は企業・そしてチームの成長につながることも多いのです。
また、No.2が組織やチームにとって慕われる存在になれるよう、フォローすることも重要です。
トップが厳しくメンバーに指導をしたときにはフォローをNo.2に任せるなど、No.2に具体的な役割を与えましょう。
No.2と他のメンバーの信頼関係構築を導くことも、経営者や上司として必要な役割です。
環境を整え、機会を与えて周囲のメンバーに「No.2は、しっかりと成果が出せる人だ」と印象づけることも必要となります。
そのフォローができるのはトップだけなのです。
組織・チーム運営へ参画
No.2に対して、組織やチーム運営について意見を求めることも重要です。
そのような機会を設けることは、意識して組織やチーム全体のことを見渡す広い視野を持つ訓練になります。
意見を求めた以上、そのアイデアを採用したいところですが、すべてその通りにするにはまだ粗削りな点があることも考えられるため難しいでしょう。
そのような場合は、No.2の意見やアイデアをすべて採用できなくても、多少なりとも取り入れるようにしてください。
そうすることで「自分のアイデアが採用された」と仕事に対する喜びを感じる機会を得ることができ、こうした小さな成功体験や達成感が、モチベーションアップにつながります。
このような経験を重ねながら、No.2は組織やチームに愛情を持って動けるようになるのです。
No.2育成を行うには?効果的な施策例
No.2育成はくれぐれも漫然と行ってはいけません。戦略的に取り組むことが成功の鍵となります。
トップに立つ人は、なんでも自分で行うことを好む傾向にありますが、No.2を育成するために敢えて静観することも必要です。
「失敗されると、ことが大きくなるから」という思いから、つい手を出したくなるかもしれません。
しかし、組織のトップとして考えると、No.2の活躍のおかげで組織全体が成長し、自分はより高いレベルの仕事に取り組む時間を確保ができたとプラスに考えるようにしましょう。
具体的なNo.2育成アイデアを紹介します。
報告書や日報を使った日々のフィードバック
トップは、No.2に対する自分の考え、期待していること、事業への思いなどをNo.2と共有することが必要です。
そのためにはコミュニケーションが重要となりますが、日常的にコミュニケーションを図るのは時間的に難しいというのが現状ではないでしょうか。
そのようなときに、ぜひ活用したいのが報告書や日報を活用したフィードバックです。
日報は、日々の業務を報告するために作成するものですが、活用次第でそれ以上の効果が期待できます。
まず、本人が業務で経験したミスや成功を振り返りながら課題を見つけていく作業を、自分で整理しながら行うことが可能です。
目標を設定し(Plan)、業務実行し(Do)、それを振り返って改善点を発見する(Check)、そして改善策を考える(Action)というPDCAサイクルが定着しやすくなります。
それだけでなく、日報にトップからのフィードバックがあることにより、No.2は自分の方向性が間違っていないことを確認しながら安心して仕事に挑戦することができます。
トップもNo.2も日々忙しく、コミュニケーションをとる時間が確保しにくいというのが現状だと思います。
日報を通してコミュニケーションを深めるのは、一つの有効な手段となり得るのです。
No.2に限らず、多くのメンバーは「これでいいのか」「自分がここまで行動していいものなのか」と迷いながら仕事をする場面は日常的に多くあります。
そのようなときにも、日報は大変有効なツールです。
No.2やメンバーの仕事ぶりを評価し、フィードバックをすることで、安心しながら仕事に邁進することが可能となりますから、日報を上手に活用して人材育成に役立てましょう。
No.2育成は企業の未来を左右する
No.2を育成する際には、ぜひ企業として、チームとしてのビジョンもNo.2に伝えるようにしてください。
トップがビジョンを語る姿を見て、心を動かされる社員はたくさんいます。
そのなかでも、No.2にぜひ、その思いを理解しておいて欲しいのです。
目指すビジョンが明確化されると、No.2として自覚を持ち、自分ができることは何かを考えるようになります。
人材育成には時間も手間も必要ですが、結果として業務効率化につながるだけでなく、企業としても飛躍するチャンスを手にすることが可能です。
No.2が手腕を発揮できるようになったら、トップはこれまで自分が担ってきた業務をNo.2に依頼することが可能となり、積極的に企業の成長・発展のために活動することができるようになります。
そのような意味でもNo.2の存在は重要なものと考えて、人材育成に力を注いでいきましょう。