2021.09.19 2023.08.09
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組織サーベイとは|自社にも導入すべき?効果や導入の流れを解説

組織が抱える課題を放置したままにしておくと、社内の文化・風土が悪化したり社員のモチベーションが低下したりして、離職者の増加に繋がることがあります。しかし、課題は一目で把握できるものばかりではないため、「組織サーベイ」の実施によって可視化し、経営上のリスクとなる要因を早期に発見して防止策を講じなければなりません。
本記事では、「組織サーベイを自社に導入すべきなのだろうか」と悩んでいる担当者に向けて、組織サーベイの概要や、主な種類と特徴、取り入れ方、実施する際の注意点について徹底解説します。

【目次】

 

組織サーベイとは?

「組織サーベイ」とは、企業が自社のパフォーマンスを向上するために、組織が抱える課題を把握するための調査のことです。組織がどのような状態にあるのかを、社員へのリサーチを通じて可視化する手法であり、「組織診断」と呼ばれることもあります。

近年、組織改善のスピード・精度を向上させるために組織サーベイを活用する企業が増加しています。

 

組織サーベイの目的・効果

組織サーベイを実施する目的としては、以下のようなものがあります。

 

・社員の満足度やエンゲージメント(会社に対する愛着心・愛社精神)を把握する

・企業が掲げる理念・戦略の浸透状況をチェックする

・人事施策の影響を測定する

・職場環境の問題点を浮き彫りにする

・社内の文化や風土を正確に捉える

 

調査結果を分析して課題を把握し、適切な改善策を講じれば、「社員のモチベーション向上」「離職率低下」「生産性アップ」「企業の成長」といった効果が得られます。

 

組織サーベイの必要性

組織が抱える課題は目に見えやすいものばかりではなく、「人間関係」や「モチベーション」といった見えにくいものも存在するため、的確に捉えるのは容易なことではありません。組織サーベイを実施すれば定量的なデータを得ることができます。そして、得られたデータを分析して組織に内在する課題を「見える化」すれば、改善策を講じることが可能になります。

なお、近年の変化が激しいビジネス環境の中で競争を勝ち抜くためには、「イノベーションが生まれやすい組織作り」「多様性が尊重される組織作り」が不可欠です。組織サーベイは、理想的な組織を作ることに繋がり、会社の成長にも役立ちます。

 

組織サーベイの主な種類と特徴

組織サーベイの主な種類は、「従業員満足度調査」「従業員エンゲージメント調査」「ストレスチェック」の3つです。以下、それぞれの特徴を説明していきます。

 

従業員満足度調査

従業員満足度調査では、会社の制度や労働環境、給与、福利厚生、人間関係などに対して、社員がどのくらい満足しているのかを多面的に調べます。満足度を数値化して定量的に分析すれば、人事施策の検討材料にしたり、実施済みの施策の効果を測定したりすることが可能です。従業員の満足度・働きやすさが向上すれば、離職率が低下するでしょう。

ただし、主に「会社から社員に与えられるもの」を調べるため、「社員の会社に対する貢献意欲」や「愛社精神」といったものは測定できないことにご留意ください。

 

従業員エンゲージメント調査

「従業員エンゲージメント」とは、会社と社員が相互に協力して絆を深めながら、共に成長する関係を構築することを意味します。

近年、「労働市場の自由化」や「ジョブ型雇用への移行」を背景として、「社員が企業理念やビジョンを理解し共感していること」や「社員と会社の期待が一致している状態」がパフォーマンス向上に不可欠なものとなり、従業員エンゲージメントが重視されるようになりました。

従業員エンゲージメント調査では、従業員エンゲージメントに関連する要素(社員が会社に対して貢献する意欲、働きがい、愛社精神など)を数値化して定量的に分析し、課題を浮き彫りにします。適切な改善策を講じれば、社員のモチベーション(仕事に対する熱意)が向上して生産性が高まり、会社の成長に繋がります。

 

ストレスチェック

ストレスチェックとは、ストレスに関する質問に対して社員が回答する検査です。労働安全衛生法によって、労働者が50人以上いる事業所では、2015年12月から毎年1回、原則として全ての労働者に対して実施することが義務化されています。

選択回答方式によって実施される簡単な検査であり、検査結果を回答者本人に通知することによって、労働者自身が抱えるストレスについて気付きを促し、鬱などのメンタルヘルスの問題を抱えるリスクの低減に繋がります。また、「社員が自己の状態に気付く」というだけではなく、回答結果を集計・分析することにより、会社側が職場環境を改善するのに役立てることも可能です。

 

参考:厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf

 

組織サーベイの取り入れ方とは?

組織サーベイは、さまざまな方法で取り入れることが可能です。以下、「実施する頻度」や「実施する際の流れ」について詳しく説明していきます。

 

組織サーベイの実施頻度

組織サーベイは、おおよそ6ヵ月から1年に1回の頻度で実施する「センサス」と、おおよそ1週間から1ヵ月に1回の頻度で実施する「パルスサーベイ」の2種類に大別されます。

それぞれの実施内容の特徴について見ていきましょう。

 

センサス

センサスでは、50問以上の設問に対して回答を求めるケースが一般的です。設問数が多いため、さまざまな角度からデータを取得することが可能です。問題の原因を深掘りしたり、より正確に課題を把握したりできることがメリットといえるでしょう。

ただし、多くの設問に回答する必要があるため、社員に負担がかかり、集計に時間を要するというデメリットがあります。また、センサスは実施頻度が低いため、問題が発生していても、すぐに把握できないことに注意が必要です。

 

パルスサーベイ

パルスサーベイでは、10問以下の設問に対して回答を求めるケースが一般的です。実施頻度が高いため、すぐに問題の発生に気が付いて対策を講じることが可能になる点がメリットです。人事の施策や、マネージャーが部下のマネジメントをするために活用されます。

ただし、設問数が少ないため、問題を深掘りしたり、原因を徹底的に究明したりすることには不向きです。パルスサーベイを実施する際には、面談などと組み合わせることをおすすめします。

 

組織サーベイ実施の流れ

以下は、組織サーベイを実施する際の流れです。

 

①組織サーベイ実施の目的を設定する

②サーベイの選定と項目の決定を行う

③組織サーベイの実施について従業員に説明する

④結果を分析する

⑤課題を把握し、改善策を講じる

 

以下、各段階ごとに詳しく説明していきます。

 

組織サーベイ実施の目的を設定

まず、組織サーベイを実施する目的を定めましょう。

会社によって置かれている状況は異なり、それによって実施する目的は変わります。

例えば、「離職者が増加傾向にある」という場合は、原因を分析して離職防止策を講じることを目的として設定してください。また、「生産性が低下している」というケースでは、愛社精神を向上させる施策を講じるために、社員の貢献意欲の阻害要因を特定することが目的になるでしょう。

 

サーベイの選定と項目の決定

実施目的によって、選択すべきサーベイの種類や質問項目は変わります。

社員の定着率向上を目指すなら、従業員満足度調査を選定しましょう。質問項目としては、「人事」「待遇」「組織風土」「人間関係」などに関するものが挙げられます。

生産性向上を目指すなら、従業員エンゲージメント調査を選定してください。質問項目としては、「企業理念に対する共感」「会社への信頼」「やりたい仕事を実現できる環境」「成果を出せる機会」「評価」などに関するものが挙げられます。

なお、労働者が50人以上いる場合、法律によってストレスチェックを毎年1回実施することが義務とされているため、忘れないようにご注意ください。

 

組織サーベイの実施について説明

組織サーベイを実施する際は、「調査結果がどのように活用されるのか」「誰に対してフィードバックされるのか」「回答結果を閲覧するのは誰なのか」といった点について、調査対象となる社員に事前に説明しておきましょう。

適切な説明がないまま調査を実施すると、正直に回答してもらえず、正確な診断結果が出ない可能性があります。社員の理解を得るためには、「どのような回答をしても、不利益にはならない」と約束する必要があります。

 

結果の分析

従業員の回答結果から、組織や個人の良い部分や課題を定量的に分析しましょう。どこにどのような問題があるのかを可視化することが大切です。

 

課題点への対策に活用

組織サーベイは、「調査したら、それで終わり」というものではありません。活用してこそ意味があります。

結果を分析して浮かび上がった課題に対して、改善するための策を練る必要があります。原因がよく分からない場合は、ヒアリング調査を追加実施することもご検討ください。そして、「費用」や「必要な時間」といったコストを踏まえ、優先順位を付けながら実行に移しましょう。

組織サーベイを行う場合に注意すべきポイント

組織サーベイを実施する際に注意すべきポイントを3つご紹介します。

 

社員の理解を得る必要がある

会社が上から押し付けるだけでは、組織サーベイは成功しません。有効な組織サーベイを実施するためには、意義や目的を説明し、社員の不利益にならないことを伝え、理解を得ておく必要があります。社員の理解を得なければ、素直な意見を拾い上げることができず、調査が形骸的なものになるでしょう。

なお、組織に対して否定的な意見を有していても、多くの社員は心の奥底にしまい込んで、表に出しません。素直な心情を吐露してもらいたいのであれば、匿名でアンケート調査を実施することもご検討ください。

 

回答が負担にならないようにする

組織サーベイの実施には、負担が伴います。特にセンサスの場合は50問以上を回答してもらうことになるので、設問を分かりやすくしたり、スマートフォンから自由なタイミングで回答可能にしたりするなど、社員の負担を低減させるように工夫しましょう。

また、会社側も、設問の作成、回答結果の分析、改善策の立案・実行といった作業に人員や時間を割かなければなりません。少人数組織であれば「紙のアンケート用紙を配布し、記入してもらってから回収する」という方法も選択肢の一つですが、大人数組織の場合は配布や回収に要する手間を省くために「ツールを使ってオンライン上で回答してもらう」という方法をおすすめします。

組織サーベイは「1回だけ実施して終わり」というものではなく、定期的に実施するものです。継続的に実施するためには、自社に適した仕組みを構築して、社員および会社の負担を減らす必要があります。

 

調査するだけでなく改善に活かす

「社員から回答してもらって、それで終わり」という状態にならないようにご注意ください。組織サーベイは、単なるデータ集めではありません。調査結果を分析して組織を改善するためのアイディアを出し、アクションに繋げることが不可欠です。

社員全員が実施する目的を理解し、フィードバックにおける対話を通じて「組織を良くしていく」という認識を共有していれば、組織サーベイを問題改善に活かすことが可能になるでしょう。

 

まとめ

組織サーベイを実施すれば、組織が抱える問題点が浮き彫りになります。なお、単に調査を実施するだけでは意味がありません。職場環境を健全化し、生産性を高めるためには、結果を分析して改善策を講じる必要があります。

組織サーベイには、従業員満足度調査や従業員エンゲージメント調査、ストレスチェックといった種類があるので、自社に適したものを選びましょう。50人以上の従業員がいる場合、年1回ストレスチェックを実施することが義務とされている点にご留意ください。

社員の満足度やエンゲージメントを向上させ、離職率の低下や会社の業績向上に繋げるためには、「1回だけ実施して終わり」ではなく、定期的な実施が不可欠です。実施に際しては、あらかじめ社員の理解を得るように努め、回答が負担にならないように配慮しましょう。

本記事の内容が、組織サーベイの導入を検討している企業のお役に立つことができれば幸いです。

 

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