2021.09.19 2023.08.09
  • チーム・組織づくり
  • エンゲージメント向上
  • モチベーションアップ

エンゲージメントマネジメントの方法|低下の要因や対策のコツ

最近、「エンゲージメント」という単語を見聞きする機会が増えています。従業員のエンゲージメントの高低は「業績の向上」や「人材の流出防止」に密接に関連しているため、経営者は意味を正確に把握しておかなければなりません。
日本企業では、長年、「年功序列」や「終身雇用」といった慣行が続いてきたため、他国と比べて従業員エンゲージメントが低い傾向が見受けられます。また、企業理念が浸透していないことや、オーバーコンプライアンス(過剰法令遵守)も、エンゲージメント低下の原因になります。
なお、エンゲージメントを向上させ、高い状態に維持するためのマネジメント手法としては、「企業のビジョンの共有」「表彰などによるやりがいの創出」「良好な人間関係の維持」「働きやすい環境づくり」といったものがあります。
少子高齢化による労働人口の減少によって人材確保が困難な時代に突入していますが、優秀な人材を会社に定着させるためにはエンゲージメントマネジメントが欠かせません。
そこで本記事では、企業の経営に関わっている方に向けて、従業員のエンゲージメントが低下する要因や、エンゲージメントを向上させ、高い状態を維持するためのマネジメント手法について徹底解説します。

【目次】

最近、「エンゲージメント」という単語を見聞きする機会が増えています。従業員のエンゲージメントの高低は「業績の向上」や「人材の流出防止」に密接に関連しているため、経営者は意味を正確に把握しておかなければなりません。

日本企業では、長年、「年功序列」や「終身雇用」といった慣行が続いてきたため、他国と比べて従業員エンゲージメントが低い傾向が見受けられます。また、企業理念が浸透していないことや、オーバーコンプライアンス(過剰法令遵守)も、エンゲージメント低下の原因になります。

なお、エンゲージメントを向上させ、高い状態に維持するためのマネジメント手法としては、「企業のビジョンの共有」「表彰などによるやりがいの創出」「良好な人間関係の維持」「働きやすい環境づくり」といったものがあります。

少子高齢化による労働人口の減少によって人材確保が困難な時代に突入していますが、優秀な人材を会社に定着させるためにはエンゲージメントマネジメントが欠かせません。

そこで本記事では、企業の経営に関わっている方に向けて、従業員のエンゲージメントが低下する要因や、エンゲージメントを向上させ、高い状態を維持するためのマネジメント手法について徹底解説します。

 

エンゲージメントマネジメントとは?

まず、マネジメントにおける「エンゲージメント」の定義をご紹介します。そのうえで、「エンゲージメントマネジメント」がどのようなものなのかを説明します。

 

マネジメントにおける「エンゲージメント」の定義

エンゲージメント(engagement)という英単語には「約束」「契約」「債務」「婚約」「雇用(雇用契約)」「(歯車などの)かみ合い」など複数の定義が存在しますが、本記事ではマネジメント領域における使われ方について解説します。

マネジメントの領域においては、「愛社精神」「従業員と会社の絆」「従業員の会社に対する愛着」といった意味でエンゲージメントという用語が使用され、「従業員エンゲージメント」とも呼称されます。エンゲージメントは、組織の人材をマネジメントするうえで重要な概念です。

 

エンゲージメントマネジメントとは

エンゲージメントマネジメントとは、エンゲージメントを高い状態に維持するマネジメントのことです。なお、マネジメントとは「経営資源(ヒト・モノ・カネなど)を効率的に使い、リスク管理を行って、目標達成を目指すこと」を意味します。

すなわち、経営資源を活用して従業員と会社の絆を深め、従業員一人ひとりが会社に愛着を持ち、方向性や目標に共感している状態を維持することが、エンゲージメントマネジメントの中身です。

 

従業員エンゲージメントが経営においても重要である理由

従業員エンゲージメントが経営において重要な理由は、「業績と結びつく」「人材の流出を防ぐ」という2つの点にあります。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

 

エンゲージメントは業績と結びつく

エンゲージメントの高低は、会社の業績に影響を及ぼすのです。従業員が、会社の目標を支持し、会社の一員であることを誇りに思うようになり、会社の発展のために求められる以上の仕事をするようになれば、業績は向上します。

例えば、グローバルコンサルティングファーム「ウイリス・タワーズワトソン」の調査によると、「エンゲージメントを高い水準に維持している企業は、低い企業の3倍の営業利益率になっている」という結果が判明しています。

参考:ウイリス・タワーズワトソン「「従業員エンゲージメント」を高めて組織を変える」
https://www.willistowerswatson.com/ja-JP/News/2019/01/-/media/0E2BCAE8497A4DC0971AF6E0537CA334.ashx

 

人材の流出を防ぐ

現在の日本では、新卒で採用されてから定年まで同じ会社で働き続ける「終身雇用」や、勤続年数によって昇進していく「年功序列」といった人事制度が崩壊しつつあります。成果主義、実力主義の報酬体系を導入する企業が増加するなか、より良い賃金を求めて転職する労働者が増えました。

また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、リモートワークの導入や副業を解禁する企業も増加しており、働き方の多様化が急速に進行しています。今後は、賃金の面に加えて、自分に適した働き方を求めて職場を移動する傾向が加速していくことでしょう。

このような状況において、優秀な人材の流出を防ぐためには、エンゲージメントを高める取り組みを実践しなければなりません。従業員と会社が「絆」や「信頼関係」で繋がれば、「離職したい」という心理状態に陥るケースが少なくなります。

 

なぜ従業員エンゲージメントが低下してしまうのか?

日本企業では、外国企業と比べて、従業員エンゲージメントが低い傾向にあります。

Kenexa High Performance Instituteが2012年に公表した調査結果によると、日本のエンゲージメント指数は31%となっており、世界最下位です。ちなみに、上位5ヵ国は、77%のインド、67%のデンマーク、63%のメキシコ、59%のアメリカおよびオランダとなります。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「働き方改革の実現に向けて — 労使で乗り越える課題」
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20181129/resume/01-kicho-higuchi.pdf

 

日本において従業員エンゲージメントが低下してしまう要因としては、「年功序列・終身雇用といった日本企業ならではの雇用環境」「企業の経営理念が浸透していない」「オーバーコンプライアンス(過剰法令遵守)」が挙げられます。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

 

年功序列・終身雇用など日本企業ならではの雇用環境

日本では、年功序列や終身雇用といった慣行が存在します。このような人事制度のもとでは、若手社員が頑張っても評価されにくい傾向があります。その一方、「勤続年数が長い」というだけで高給を受け取るベテラン社員が社内にいるため、若手社員は納得できないかもしれません。

さまざまな経験を蓄積しているベテラン社員も会社にとって大切ですが、新しい情報に触れている若手社員の方が会社に貢献できるケースもあります。若手社員のエンゲージメントの低下を避けるためには、旧来の人事制度の見直しを検討しましょう。

 

企業の経営理念が浸透していない

社員が会社の経営理念・ビジョンを深く理解していない状態では、会社に対して愛着を持ったり信頼を感じたりすることが困難になります。経営理念とは、企業がどのような方向に進もうとしているのかを示すものです。それを把握しないまま業務を遂行していては、「仕事だから、仕方がなくやっている」という意識になりかねません。

なお、不明瞭な経営理念を掲げていると、社員が理解できず、ゴールを見失ってしまうケースがあります。どう動くべきなのかを具体的に指し示す内容にすべきです。また、「経営者が経営理念を説明する機会を設ける」「経営理念を踏まえた人事評価システムを構築する」といった施策を打つことも、経営理念の浸透、および、従業員エンゲージメントの向上に有効といえるでしょう。

 

オーバーコンプライアンス(過剰法令遵守)

近年、「コンプライアンス」(法令遵守)という単語を見聞きする機会が増えました。それを受けて、企業の中には、ルールやチェック・監視業務を必要以上に増やしてしまうケースも見受けられます。このような状態を、「オーバーコンプライアンス」(過剰法令遵守)と呼びます。

コンプライアンスは、法的リスクの低減に有効です。しかし、過剰な規制で社員を縛り付けてしまうと、会社への愛着・信頼が乏しくなり、新しいことに挑戦しにくくなってしまいます。新しい発想・挑戦を促す社内風土を構築するために、オーバーコンプライアンスに陥らないように注意しましょう。

 

エンゲージメントを高めるためのマネジメントのコツとは?

エンゲージメントを高めるためのマネジメントのコツは、「企業のビジョンの共有」「表彰などによるやりがいの創出」「良好な人間関係の維持」「働きやすい環境づくり」の4つです。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

 

企業のビジョンを共有する

エンゲージメントを高めるためには、企業の経営理念・ビジョンを社員が共有しなければなりません。経営理念を浸透させるためには、「ミッション・ビジョン・バリュー」(MVV)と呼ばれる枠組みを用いることをおすすめします。

MVVとは、経営学者のピーター・ドラッカーが著書『Managing in the Next Society』の中で提唱した枠組みであり、会社の立ち位置、存在意義、方向性を決定付ける礎となるものです。MVVはピラミッド型の階層構造になっており、上から順番に、以下のような要素で構成されています。

・ミッション(Mission):何を実現するための組織なのか、なぜ自社が存在するのか

・ビジョン(Vision):ミッションの実現によって、どういう社会を作りたいのか

・バリュー(Value):どのようにして達成するのか(価値観、行動指針)

これらの要素を定義すれば、経営理念が具体化され、社員が企業のビジョンを共有しやすくなるでしょう。

 

表彰などによるやりがいの創出

人間は、適切に評価を受けられない場合に不満を感じるものです。成果を出したにもかかわらず、納得できる評価を得られなければ、上司や会社に対する不信感に繋がります。社員が業務を遂行したら、会社は正しく評価を行わなければなりません。

なお、評価は、給与などの金銭的な報酬だけではなく、表彰やサンクスメッセージといった非金銭的手段を用いて行うことも可能です。表彰制度を作って感謝の意思を伝えれば、社員の中に「やりがい」が創出され、エンゲージメントが高まります。

 

良好な人間関係を維持

エンゲージメントを向上させるためには、職場において良好な人間関係を維持する必要があります。コミュニケーションを取りやすい環境を整備すれば、上司や同僚、部下との信頼関係を築くことが可能になるのです

ただし、「飲み会に無理やり参加させる」といった手段は、逆に距離を引き離してしまう結果になりかねません。信頼関係は、強制的に作り出すものではなく、互いに少しずつ歩み寄るなかで自然に形成されていくものです。

「日報の共有」「1on1ミーティングの実施」「社内SNSの導入」といった手段を通じて、気軽なコミュニケーションを促し、慌てることなく人間関係を築き上げ、構築した関係を維持していきましょう。

 

働きやすい環境づくり

「ワークライフバランスへの配慮」「メンター制度の導入」など、働きやすい職場環境を整備することも、エンゲージメント向上に役立ちます。

近年、労働者が「多様な働き方」を求める傾向が強まっており、「9時までにオフィスに出勤し、17時以降に退勤する」という形式にとらわれない勤務形態を認めましょう。例えば、フレックスタイム制やリモートワークを導入すれば、介護や育児といった家庭生活と仕事の両立が容易になり、ワークライフバランスを実現できます。

ところで、仕事をしていると、「どのように進めれば良いのかわからない」という問題にしばしば直面するものです。メンター制度を導入すれば、壁にぶつかった際にノウハウを直接教えてもらうことが可能になり、仕事を進めやすくなるでしょう。

 

まとめ

「上司が指示してきたから、仕方がなくやっている」という状態では、仕事の質が向上しません。従業員一人ひとりが会社の理念・ビジョンを深く理解し、愛社精神が高まれば、業務にやりがいを感じるようになり、サービスの質が向上します。また、離職率の低下にも繋がります。

このような状態を実現するためには、エンゲージメントマネジメントが不可欠です。「日本企業は、他国の企業に比べて従業員エンゲージメントが低い傾向がある」という調査結果があるので、改善に努めましょう。

本記事の内容が、エンゲージメントマネジメントについて知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。

この記事が参考になったら、「シェア」をお願いします!

  • LINE
  • はてブ

個別でのご相談も受付中!

人財活用、育成に関する課題をお申し付けください。最適なアプローチをお答えします。

『個別相談』を申し込む