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神が宿る瞬間
年末に見ていたTV番組で、色々な刺激を受けました。
その中で、食い入るように見てしまったのが、宮崎駿さんと宮崎吾郎さんのドキュメント番組。恐らくそれは、5年ほど前に放送されたものの再放送です。
日本における漫画の神様が手塚治虫さんだとしたら、宮崎駿さんは、日本におけるアニメーションの神様。といっても、過言ではない存在ではないでしょうか。
その息子さんである宮崎吾郎さんが監督2作目である「コクリコ坂から」を完成させるまでの間、二人の関係を追った番組でした。
元々、吾郎さんがアニメーション監督になるのに反対だった駿さん。
そのような関係の中で、1作目の「ゲド戦記」は興行的には成功し、満を持しての2作目への取り掛かりと思われました。
「コクリコ坂から」の主人公である「松崎 海(まつざき うみ)」は当初、影のある性格として描かれます。
そんな中、駿さんが、描かれたキャラクターを見て、
「すごく不安になった。そんな魂が入っていない絵を描いてもしょうがない」
「まだ世界が固まってないからだ。腑抜けた絵を描いちゃだめだ」
と意見するというシーンがありました。
その後、駿さんが海を描いた一枚の絵を吾郎さんに渡します。
前のめりで、大股で歩き登校するその姿が描かれたその絵が元になり、海の性格はポジティブで前向きなものになったそうです。
私の印象に残ったのは、その後のシーン。
駿さんは、プロデューサーの鈴木敏夫さんに、こう話しかけたのです。
「海(主人公)が、起きたらすぐに布団をしまうシーンを入れたらどうだろう」
「着替えてから布団をたたむというよりも、先に布団をたたむよな、きっと」
そんな会話だったと思います。
素人からしたら、どっちでもいいじゃんって思ってしまいますが、これはそのキャラクターの性格を、言葉を使わずに表現するにはとても重要なシーンになったようなのです。
その後、吾郎さんにインタビューをしたところ、こんな答えが返ってきていました。
「今では、海たちが勝手にやってくれるんですよ」
まさに、キャラクターに命を吹き込むというのは、こういうことなのだなと目が釘付けになってしまいました。
この映画が完成するまでには、駿さんと吾郎さんの、それは熱いぶつかり合いがあったということが伝わってくるドキュメンタリーでした。
細部に神を宿すことで、つながる先は
私がこのドキュメンタリーから学んだことは大きく2つです。
1つ目は、
「本物を作るために必要なぶつかり合いがあるということ。」
お互いの信念があるからこそ、ぶつかり合いにより磨かれ、一人ではできないような素晴らしい結果を導くこともある。そのためには、素直にフィードバックを受けることと、自分が考えたことを素直に相手に伝える勇気が大事。
そしてもう一つは、布団をあげるシーンに象徴される「細部」について。
昔からよく「神は細部に宿る」と言いますが…
「そんなの誰も気にしてないんじゃないか」
というような細かいところにこそ、神は宿るのだなということを感じました。
もちろん、何でもかんでも細かく作りこめばいいというわけではないと思っています。
映画の場合でいえば、鑑賞する人のことを考えて作りこむ。
普段の仕事で言えば、相手となるお客様のことを考えて作りこむ。
こういう細部に手を抜いてしまうと、そこに神は宿らないし、短期的にうまくごまかせたとしても、長い目で見たら絶対にうまくいかなくなります。
私の中には、今でもたまに「これくらいでいいか」精神が顔を出すことがあり、そんな時にこのエピソードを思いだすことにしました。
「そこまで考えてやっているのか!」という細やかな気遣いや配慮が少しでも多くの人たちに「仕事っておもしろい!」という感情につながるのであれば、そこに手を抜く理由はありません。
まだまだですが、自分なりに神を宿すために、細部にこそこだわっていこうと改めて決意することができました。
一つでも皆様のお役に立てたら幸いです。
平井でした。
PS
「コクリコ坂から」は、ジブリ作品の中で母親が一番好きだと言っていました。
自分の青春時代と重なるんだとか。今度DVDでもプレゼントしようと思います。