新入社員の研修の時から醸成した方が良い力の1つに、“自分で考えて、自分で行動を起こす力”があります。 しかし、特にZ世代はこれが苦手な人は多い傾向があるので、意図的にこの力が身に付くような仕組みを研修の中に取り入れることがポイントです。
Z世代の特徴として、“失敗したくない”、”間違いたくない”というものが、世間的に言われています。 また、管理職やマネージャーの方から見たZ世代の特徴としては、“正解を欲しがる”、“すぐに答えを聞きにくる”というものもよく挙げられます。
確かに、実際に現場でそのような特徴が見られることも多いZ世代ですが、実は本人たちの多くは、“自分で考えて挑戦しないと成長しない”ということもわかっていることが多いです。
だからこそ、その不安を解消できるような工夫をしたり、自分で考える機会を設けたりすることが鍵となります。 そのためには、育成する側が“伝えることや教えること”と、“自分で考えてもらうこと”を絞って、明確にすることが重要です。
分かりやすくお伝えするために、「椅子を作って欲しい。」と部下に指示する場合を例に挙げてみます。 まず、部下に渡すものとしては、“椅子を作るために必ず必要になる材料”です。 次にのこぎりやトンカチなど、製作するのに必要な道具でしょうか。
そして最後に渡すものは何か。それは、完成図です。 ここで、“作成の手順が記載してある説明書を渡さない”というのがポイントです。 最初に、1から10までどのように椅子をつくればいいかわかるものを渡してしまうと、常に自分で考えることができなくなってしまいます。
渡すべきは、ここでいうトンカチなどの道具といった使えるリソースに加え、完成した時の状態がわかるもの。 つまり、”こういう成果を出して欲しい”というような、期待するゴールの姿、望む結果を明確にすることが重要です。
“何をすればいいか”ではなく、“何を達成すればいいか”を伝えることで、それを“どのように達成するか”ということを自分自身で考えるようになるでしょう。
すぐに答えを欲しがるのは、Z世代の特徴だから仕方ないと思って、全てを教えるような研修をするのではなく、研修の目的・使える道具・到達して欲しいゴールを明確化し、お互いにしっかりと合意することで、”失敗したくない”と考えるZ世代でも挑戦することができるようになります。
具体的に、研修の中でワークショップなどの活動をする際にも、このように、“何を伝えて、何を伝えないのか”を研修をする側の中で明確にしておくことが重要です。
電話応対のロープレの際に、わかっているつもりでもできないことを痛感しました。インプットしたつもりでも、実践できなければ意味がありません。“知っている”と“できる”をしっかり区別し、アウトプットを通して、自分のモノにしていくことが最も重要だと改めて学びました。